Beautiful crime

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未来を信じて【10×6】ティナ祭り⑫

こんばんは。

連絡もせず、大遅刻で大変申し訳ありません。

まさかの週の半ばの強制飲み会。

予想しない頃にやってきて、強制連行のため、不覚にも何の対応もできませんでした。

大変失礼致しました。

それでは本日の小説の投下でございます!

6/10の本日は、ティーダ×ティナになります。

ティナ祭り第1弾、【ティナで10題】

お題はdevil+angel様からお借り致しました。

作中には、私の中のティダティナソングの歌詞が入っています~。

私のティダティナのイメージで、ドリーム大爆発が目に見えて痛い感じです。

そして、この話は最初の注意書きに書いてあります要素が含まれています。

・ティナは、最終戦の直後(本当にまさに直後です)、世界が分かれる瞬間にコスモスに召還された
・ティーダは10-1の終わり、ダイブした瞬間にコスモスに召還された

上記内容が大丈夫な方は以下からどうぞ~





――――――――――――――――――――――――――――――


見つめなきゃね どんな淋しい空でも
彼も見てきた 空だと知れば 一人じゃないはずさ 




未来を信じて




彼はまるで夏の太陽
強烈な光のように強い焼き跡を胸に残し
季節が過ぎ去ればあっというまに消えてしまう
彼はまるで夏の太陽
強すぎる光の光線は、目にはまぶしすぎて直視できやしない
それでもしっかり見ようとしたら、ほら熱くて透明なものが瞳にうかぶ






少し熱をはらんだ風が頬を撫でてゆく。
青い空はどこまでも澄み渡り、白い雲がのんびり歩く。
本日も快晴なり。
子供達が晴れの日はそういうんだよと教えてくれてから、晴れの日はこころでそんな風につぶやくようになった。
ティナは近くの柵に腰をかけ、一人澄んだ空を眺めていた。
世界の終焉をかけて闘った異世界から戻って、もう3年以上経つ。
季節は二巡し、また冬を超し春を通り抜け、ようやく夏になった。
目の前にはひまわり畑が、一面に広がっている。ここは山のため標高が高く、本来のひまわりの高さまでは達していなかったが、それでも太ももに達するくらいまで成長していた。黄色の花弁が色鮮やかに目にうつる。
ティナは微笑んだ。
あの戦に明け暮れた日々が嘘のように、ただ穏やかな時を過ごしている。
けれど、やはりいまでも思い出す。
あの戦を共に戦い抜いた仲間達のことを。
常に真っ直ぐで、どんな物事にも動じることのない光の勇者。
理想の夢を持ち、叶えるという強い信念を持った義士。
いつも自分を守ると言って傍にいてくれた、優しい少年。
月のように美しく、優しい心を持った騎士。
風のように自由で、何にも捕らわれない旅人。
無口だが、何度も助け導いてくれた兵士。
不器用で口下手だけれど、熱い心を持った獅子。
歌うように喋る、女性に優しい盗賊。
そして。
ティナは手で目を覆い隠し、その影ごしに太陽を見た。
夏の日差しに似た、快活な青年。
その人好きのする笑顔は、誰の胸にもすぐに入り込み、はっきりとした輪郭を描いて脳裏に残る。
別れてから三年経った今、ティナの瞼裏にも、そのまばゆい笑顔がはっきりと思い出せた。
(ティナ)
耳に彼の声が蘇る。
明るく、楽しい青年だった。一点の曇りも無く、陽気で楽しいものだけでできている様な。
おせっかいな青年でもあったと思う。
ティナの、感情の喜怒哀楽を教えてくれたのも彼だった。
中々感情というものがわからない自分に、「この世に生まれたのなら、それを知らなきゃもったいないっすよ!」と言い、優しく厳しく導いてくれた。
ほんとうに、ほんとうに、明るくて、優しくて、眩しくて。
でも、微かに。
ティナの胸に、小さな、棘でさされたような痛みがよみがえる。
どこまでも、孤独や哀愁をぬぐえない青年でもあった。
それは例えば皆で楽しく冗談を言い合ったりする一瞬に彼がする遠い目だったり、満開の笑顔の向こう側に、悟りきった老人のような寂しさを漂わす時に多分に感じ取れた。
青年の蒼い目を思い出す。涙がたくさん溜まったような瞳だと思った。彼は自分の瞳は、夏の海の色をしているのだと、言い張ったけれど。
(俺はね……消える存在なんす)
波ぎわに打ち返す波のような儚さで、青年は言っていた。
ティナの胸に、こんどは先程よりもにぶい、けれど大きな痛みがこみあげる。
果たして、なぜ、そんな会話をしたのか。
ティナは今でも不思議に思う。なぜ、彼とそんな話をしたのだろう。
ティナとティーダの二人でコスモスの館に留守番をしていた日。
あれはもう、ほとんどのクリスタルを探し終え、別れの気配が近づいている頃だった。






とても穏やかな日だった。
日差しは柔らかく、鳥の声が歌うように響き、のどかで、幸せそのものを象徴したような日だった。
ティーダと二人、館の庭に座り込みながら、感情のレッスンをしていた。
本日の議題は「涙」だった。
ティナは、どうしても「涙」を流すことができなかった。
それがどんな風にいけないことなのか、ティナにはわからなかったが、ティーダはそれは絶対にできなきゃいけないと言って、頭をたくさん捻らせ、涙を流させようと必死になっていた。
解決策が見えぬままどん詰まりし、気晴らしまぎれに互いの故郷についての話をし、ティナが海で遊んだことがないとか、そんなとりとめのない話をしていた。
「海は気持ちいいっすよ!一度泳いで損はないっす!だから元の世界に戻ったら、絶対に海に行って遊ぶべきっすよ!」
ティーダは勢い込んで言った。その熱い言い回しに、ティナはくすくすと笑う。
「ティナは戻ったらまず、海に真っ先に行って、泳ぐんっす!あぁ~海で泳ぐティナはきっと人魚みたいにかわいいだろうなぁ!」
ティーダの言葉に、ティナは微笑んだままだった。
だが、胸に小さな影がよぎる。本当に小さな影だから、気づかないふりをした。
気づかなくていいことだと思った。
ティーダと感情のレッスンをするようになって最近、こんな風に胸にせまる感覚が増えたように思う。
それはこころだと、ティーダは言っていた。
昔は違った。そんなものはなかった。ただ、身体を動かせばよかった。
心というものは目の前に置いてあるもので、遠くから見ているだけのものだった。
だからどうしても、胸にこみあげるものを無視して、眺めるだけにしてしまおうとする癖がぬけない。
「ティーナ!」
ティーダの声に我にかえる。少し、自分の考えに浸ってティーダの事を無視してしまった。
慌てて顔をあげると、ティーダが怒った顔をして、ティナを見ていた。
「ティーダ?」
「ティナ、また自分の気持ちを無視したっすね!それは駄目だって何度も言ってるじゃないすか!」
ティナはしゅん、と肩を落とし下を見る。名も知らない小さな黄色い花が、そんなティナを優しく見守っていた。
何故だか、ティーダにはティナの考えていることが筒抜けのようで、こうやって指摘されるのは日常茶飯事だったりする。
ティーダに言わせれば、顔を見ていればすぐにわかるということだった。
「で?今度は何を思ったんすか?」
腕を組んで上から睨むように言う。ティナはそれでも言うのを少しためらった。
誰にも、話すつもりの無いことだったからだ。
頑なに話すことを拒んでいた内容でもある。それはまるで一本天高くそびえたつ樹のように真っ直ぐで、ティナの信念とも言えるものだったかもしれない。
けれど、その時は、ティーダだったら良いかもしれないと思った。
なぜなのだろう。
ティナはティーダの瞳を見て、足元の黄色い花を見て、それを数回くりかえした後、吐息のように言った。
「じつは……帰ったあと、なにができるか……私にはわからないの……」
ティーダは眉を上げた。
「……どういう、ことっすか?」
身をのりだして尋ねてくる。
ティナは迷うように瞳をゆらした後、ゆっくりと口を開いた。
「私の世界はね……今、二つの世界に分けられる所なの。ひょっとしたらもうなっているのかもしれない。幻獣と、人の二つの世界に。」
ティーダは間に何も言わずに、ただ聞いている。ティナは続けた。
「私がこちらの世界へ来た瞬間、それは本当に世界が分けられる時だったのだと思う。戻るのがその瞬間かは、わからないけれど、もし世界が隔てられていたとしたら……」
「いたとしたら?」
ティーダが先を促す。ティナは、したがった。
「隔てられていたとしたら、私はどちらの世界に還っても、生きていけないから死ぬの。もし来たあの瞬間に戻るのだとしたら、多分、消えゆくと思うの」
「死ぬ……?消える……?」
ティーダが、搾り出すように言った。
「私は人間と幻獣のハーフだから。どちらの世界にも属せない。だから。」
ティナは淡々と言った。目の前にある事実を、ただ読み上げた。
ティーダは睨むようにティナを見た。ティナの表情には、なんの感情も無かった。
透明な入れ物のように、ただそこに在る。
ティーダは胸に暗い炎が燃え上がるのを感じた。
ティナの生い立ちについて、ティーダはティナの口から聞いていた。この感情のレッスンをするにあたって知らなければならなかった部分もあった。
それは凄惨な物語だった。一人の少女が背負うべきではない悲劇だった。
だから、少女はこの後幸せになるべき人間だと思った。
人は、苦しんだ数だけ喜びもやってくる。世界はそんな風にできている。それはティーダの持論でこの世の真実だとも思っていた。
けれど、運命は彼女に喜びを与えるどころか、信じられない仕打ちをする。
彼女の世界は彼女になぜここまで優しくないのか。
もし、目の前に命を生み出した神々がいるのなら、その胸倉を掴んで怒鳴りつけたい。
彼女が何をしたというのだ。
「なんで……!ティナは嫌じゃないんすか!?」
声を荒げるティーダに、ティナはただ瞬きを繰り返すばかりだった。
ティーダが何故怒るのか、わからない様に首を傾げる。
「そうでなければ、わたしの世界が壊れてしまうの。それならば、私ひとり犠牲になる位しょうがない事じゃない?」
明日は雨がふりそうじゃない?そんな世間話と変わらない口調で言うティナに、ティーダは愕然とした。
自分というものを大切にできない少女だと思っていた。感情のレッスンをしていてもそれは顕著で、何度も歯がゆい思いをした。
それが助々に、ほんの少しだけれど薄れてゆき、自我を持ってくれ始めたときは、すごく嬉しかった。
それからは早かった。
ひょっとしたら、彼女はもう少しで普通の人間と変わらない位、あるいはそれと近い所まで感情をわかるようになるのではないかと錯覚するくらい。
(本当に……錯覚だったんだ…)
長年彼女の身体に染み付いた習性は、そう簡単にぬぐえやしない。
(だからって……なんで、ここまで……)
世界を守るために、自分が死ぬという事実をあっけなく受け入れられる少女が、憐れでならなかった。
怒ることも嘆くこともできないのだ。わからないから。
(だって……だって俺は……!)
腹の底にたまっていた熱いものが目に、瞼に押し上げてくる。それはとどまることなく、瞳からあふれ出した。
ティナは驚いてティーダを見た。
ティーダの瞳からそれはいっせいに。とめどなくあふれ出してくる。
泣き出してしまったティーダに、ティナは戸惑い、どうしたらよいのかわからずおろおろするばかり。
「ティーダ…泣かないで……。どこか痛いの?」
心配気に覗きこんでくるティナ、心底心配そうに瞳を揺らしている。
「ティナが!泣かないからっす!」
鼻をすすりながら、思わず怒鳴ってしまった。
その言葉に、ティナは哀しげに顔を曇らせる。
「ティナが泣かないから……!代わりに俺が泣くんすよ……!!」
「ティーダ……」
ティーダはティナが何か言う前に、力強く抱きしめた。
小さくて、華奢で、儚げな少女だ。
どこにでもいて、どこにもいない、たいせつな自分達の仲間の、ただひとりの少女。
消えてしまうなんて。もうどこにもいなくなるなんて。
それを受け入れてしまうなんて。
けれど。
けれど、少女が世界のために消えるのを納得する気持ちがわかってしまう自分が、哀しかった。
ティーダは顔を上げて、涙をぬぐう。ティナが心配そうにティーダを見上げる。
それに笑顔で答える。
「すまないっす。なんか、ティナが……自分と重なって……」
「じぶんと?」
今度は、ティナがいぶかしげにたずねた。
ティーダは笑った。
今まで、誰にも告げたことがないけれど。この少女になら教えても良いかなと思った。
少女に顔を近づけるように指で指示する。少女は素直に従った。
誰にも言ってないんだから内緒っすよと言って、息をひそめ。
「俺はね、びっくり!幻の存在なんっす!!」
大きな声で言ってみた。
ティナは大きな瞳を瞬かせて、固まったようにティーダを見る。
「俺は、本当はこの世に存在してないんすよ。幻影ってやすっすかね?元の世界では一応存在できてたんすけど、世界のためにどうしても消えていかなきゃいけなかった。」
ティーダは下を向きながら、軽快に饒舌に話す。鼻から上が影になり、その表情は伺えない。
口元の乾いたような笑みが、違和感と共に張り付いているのがみえるだけだ。
「俺もね、ティナと一緒なんす。まさに自分の世界から消える瞬間に、こっちに来たんす!だから、自分の世界に戻ったらきっと俺も消える。ちょっと待ってーみたいな!」
あはは、と乾いた笑い声が穏やかな庭に場違いに響く。
ティナは、またたきもせずティーダを見ていた。
ティーダは、朗らかに笑っていた。いつも夏の太陽みたいに笑うねと言うと、俺はひまわりみたいに笑ってるすよ!と軽口をたたく様な、そんな笑み。
ティナは、突然言われたティーダの衝撃の発言の数々を、とにかく纏めようと頭をふる回転させた。
ティーダは、この世に存在しない幻なのだと言った。幻とはなんだろう。それはそこに無いもののことだ。夢のことだ。触れられないもののことだ。
でも、ティナはティーダに触れられる。触れられるのに、幻なのだろうか。
ティナの疑問を見てとったように、ティーダは笑っていった。
「今は触れられるんす。どういう仕組みかわからないんすけど。でも、俺がここに来る直前にはもう、人に触れなかった」
どこか諦めた様に、笑って言った。
ティーダのこんな笑みを、ティナは何度か見たことがある。
それは仲間達との夕餉の後、安らかなひと時の他愛の無い会話をしている時や、皆で戻った後のことを話している時に。
この戦いが終わり、元の世界に戻った後……ティーダはもうこの世にいないのだ。
ティナは何度も瞬きをくりかえす。
そうでなければ、目尻が干上がるように乾いていくのを止められそうになかった。
胸にこみあげてくる、この熱い奮えはなんだろうとティナは思った。
哀しみというには熱すぎる。けれど怒りと呼ぶには冷めていた。
ティナは手を伸ばし、ティーダの頬に触れた。
いたわるようなそれにティーダがゆっくりと顔を上げる。その精悍な顔に、哀愁を漂わせて微笑んでいた。
だが、その夏の海のように深い瞳がゆっくりと驚きに見開かれる。
「ティナ……」
ティナは自分の指先が震えていることに気づき、咄嗟に手を引っ込める。
ティーダはその手を追うように伸ばし捕らえ、力強く握り締めた。そして、空いた片方の手を、傷ついた花弁にふれるようにやさしくティナの頬に添えた。
ティーダが困ったように笑った。
しっかりと見つめようと思うのに、なぜだか視界がぼやけてゆらぎ、ティーダの顔がはっきりと見えない。
ティーダは何も言わず、そっとティナの頬を伝い落ちる濡れたものを拭ってくれた。
ティナはそれでようやく、自分が泣いていることに気がついた。
「あ……」
声が、思わずこぼれ落ちる。
泣いていることに気づいたら、とめどなく後から後からこぼれてきた。
ティーダが嬉しそうにぼやけた視界に笑うのが見えて、さらに泣けてきた。
なぜ、泣けてくるのか。ティナにはわからなかった。
でも、ティーダがこの世に存在しなくなると思うと、たまらなかった。わけもなく後から流れてゆく。泣くのに、理由などないのだろうか。
ティーダはティナの握っていた手をはなし、同じように頬に沿えた。
ゆっくり顔を上向けられ、ティーダはそっとティナの額に自分のそれを重ね合わせた。
互いの熱が額から伝わる。
いたわるようなぬくもりが、ただやさしく肌に流れ込んでくる。
「ティナ、約束するっす」
額をあわせたままティーダは言った。ティナは瞼を伏せて、されるがままその声を聞いた。
「もし、互いの世界に還っても、お互いが消えなかったら。会う約束をするっす」
優しい声の響きに、ティナはさらに目頭が熱くなるのを感じた。
「会う場所は、そうだ!ひまわり畑にするっす!」
「ひまわり畑?」
「太陽の花っす!青い空の下、一面にひまわりが咲いてるんす!ティナはとびっきりのお洒落をしていて、そこに俺が颯爽とかっこよく登場するっす!」
ティーダは、本来の陽気さを取り戻したように、力強く言った。
「もし俺が消えても……生まれ変わってきっと会いに行くっす」
なぐさめるようにやさしく、ティーダは言った。
ティナは微笑んだ。泣きながら微笑むことしかできなかった。
一面の青い空。流れる白い雲。その下に燦然とあざやかに輝く黄色い花畑の群れはそれは美しく、ティーダに似合うことだろう。
鮮やかに眩しい微笑みを浮かべて、そこに立つティーダはティナが知っているティーダより少し大人かもしれない。
それは…それはなんて美しくていとしい夢だろう。
「わかった。私も、そこで、待っているね」
そう言ってティナは微笑んだ。
ティーダは眩しいものをみるように、目を細め、ふいにこらきれなくなったようにティナを力強く抱きしめた。

ティーダは何度も、何度も約束をした。
会いに行くよ、と。
会いに行くよ。 会いに行くよ。 君に会いに行くよ。
俺の世界から、君の世界へ、きっと。

ティナはティーダの胸で何度も泣いた。
きっとティーダは会いにきてくれる。もしティーダでなければ生まれ変わったティーダが。きっと会いに来てくれる。ならば自分も同じように、ティーダに会いに行こう。もし自分でなければ生まれ変わった次の自分が。どんなものに姿かたちを変えようと、きっとめぐりあってみせよう。
胸に焼きつくようにそんな願いが閃いた。
例えそれが一時の夢にすぎないのだとしても、そんな夢をみられる自分を、ティナはとても好きだと思った。





ふいに風が大きく吹き、おろしただけにしていたティナの長い髪をさらっていく。
ティナははっと我に返り、苦笑した。
思い出に浸りすぎていたらしい。
あの戦いから戻った後、ティナの中の幻獣は消滅し、ティナは人間になった。
きっと消えてしまう存在だと思っていたから、生き残ってどうしたらよいかわからなかった。だが、ふいにあの約束が蘇った。
ティーダと会う、あの約束。青空と向日葵畑。
ティナが調べた限り、この世界には向日葵畑は残念ながら存在していなかった。
ティナはとりあえず、向日葵畑を作ることにした。
約束の場所が無ければ、始まらない。
最初は一面の向日葵畑など夢のまた夢で、上手く咲かなかったが、次の年にはコツもつかみ、今の半分くらい咲き、今年はようやく一面といえる花畑にすることができた。
素人なのに、ここまでやってのけた自分を、ティナは誉めてやった。
この三年間。寂しくなかった言えばうそになる。孤独は常に隣りあわせだ。
けれど、あの約束を思い出す度に。
たとえば、こんな青空を見るたびに。向日葵を見るたびに。似たような黄色い花を見るたびに。
何度もあの約束を思い出し、一人じゃないと言い聞かせた。
同じ約束を果たすために、きっと彼も頑張っているに違いない。
「待ってるよ…ティーダ」
小さく呟き、空を仰ぎ見る。
夏の青空はどこまでも澄み渡り、海のように深い。
眩しい太陽は、仮の少年を連想させるような強い輝きに満ちていた。
本日も快晴なり。
胸の中でつぶやいて、目の前の向日葵畑に目を向ける。
あざやかな黄色の大群が、瞳にやさしくうつる。
そんないつもの光景に、ふと感じる違和感。
黄色の地平線の向こう側。ひときわ目立つ大きな向日葵が見える。
あんな大きな向日葵があっただろうか。
探るように見つめていたティナの瞳が、ゆっくりと大きく見開かれる。
大きな向日葵の花束を抱えた、その人影。
何度も瞼裏によみがえった見慣れた笑顔。
あれは―――――――――………。





会いに来たよ 会いに来たよ 君に会いに来たんだよ
君の涙のふるさとから 乾ききった世界まで
僕を知ってほしくて 君を知ってほしくて 来たんだよ










使用歌詞
BUMP OF CHICKEN
「涙のふるさと」より


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